第10話 山査子飴

サンザシ飴
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山査子飴と揺れる恋心

午後の《喫茶つむぎ》。
外はまだ日差しが強いけれど、店内は木の温もりとやさしい影に包まれていた。
カウンターには、小瓶に詰めた赤い飴玉を並べている。
光を透かすと、まるで小さなルビーのように輝いた。

「今日のおすすめは山査子(さんざし)の飴です。甘酸っぱくて、気持ちをすっきりさせてくれますよ」
瓶を整えながら私は言った。

そのとき、扉が開き、ノートを抱えた女子大生風の客が入ってきた。
黒板の「本日のおすすめ」をじっと見つめてから、ゆっくり席に座る。

「……その、山査子飴ってどんな味なんですか?」

私は微笑んで瓶を差し出した。
「よろしければ、ひと粒どうぞ。甘酸っぱくて、胸の奥をすっと軽くしてくれます」

彼女はおそるおそる口に含み、驚いたように目を見開いた。
「……ほんとだ、甘酸っぱいけど後味がすっきり。なんだか、気持ちも落ち着きます」

ノートを開いた彼女は、ため息をこぼした。
「ゼミの課題で“人の気持ちの変化”についてレポートを書かなきゃいけなくて。
でも、言葉がぜんぜん出てこなくて……。
昨日も友達と焼肉を食べすぎて、胃もたれで眠れなくて……今日も頭が重いんです」

私は頷き、瓶の中の赤い飴を指さした。
「山査子はね、特に肉や脂っこいものの消化を助けてくれる果実なんです。
血の巡りもよくしてくれるから、頭や体がすっきりしていきますよ。
そして……飲み込みすぎた気持ちも同じ。外に少し出せば、軽くなるんです」

彼女は頬を赤らめ、視線を落とした。
「……実は、ゼミに気になる人がいて。
でも告白したら関係が壊れるんじゃないかって……胸にためこんでばかりで」

奥で帳簿を整理していたつむぎさんが、顔を上げて静かに言った。
「隠そうとしても、気持ちは表情や仕草に出るものよ。
なら、ほんの少しでも言葉にした方が、心はずっと軽くなるわ」

彼女は目を瞬かせ、それから小さく笑った。
「……そうですよね。全部は無理でも、ほんの少しなら言葉にできるかもしれません」

帰り際、彼女は小瓶をひとつ手に取り、ぎゅっと握りしめた。
「この飴、課題のヒントにします。……そして、自分の気持ちの整理にも」

扉が閉まったあと、私は瓶の赤い飴を見つめてつぶやいた。
「甘酸っぱくて、胸に残る味。恋心って、それに似てますね」

つむぎさんはやわらかく微笑んだ。
「ええ。山査子はね、体の重さも心の重さも流してくれる果実。
若さを支える力を持っているのよ」

香ばしい甘酸っぱさが、店内にやさしく広がっていった。

――薬膳は体を整えるだけじゃない。
揺れる心にも、次に進む勇気を与えてくれる。

今日の薬膳ミニ知識

・山査子(さんざし):消化を助け、特に肉類や脂っこいものの胃もたれに効果的。
・血の巡りを良くし、冷えや頭の重さを改善。
・お腹の不調(腹痛・下痢・胃もたれ)にも用いられる。
・抗酸化作用で体の錆びを防ぎ、若さと元気を支える果実。

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この記事を書いた人

国際中医薬膳師のいろはが薬膳の効果と普段食べている食材にも効能があることをお伝えします。

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